Teck Watch

< BACK

「Teleport」―世界を旅するノマドファウンダー・Silver Keskkula氏が描く新たなリモートワークの世界!!

  • Apps
  • Entrepreneur
Posted by 玉井和佐  - 2016.6.21 03:06 -

Silver Keskkula は、Teleport, Inc 共同創業者だ。Skypeの創業初期に社内初のResearcherとしてSkypeのコアチームに加わり、6年間で、3億人ものアクティブユーザーの獲得及び$8.3BのExitという激動のローラーコースターを経験した。その後、SkypeのEngineerチームを率いて現CEOのStenと共に独立。Andreessen HorrowitzやSV Angelからの出資を経てTeleport社創業わずか2年で既に7つのサービスをLaunchしている。今回は、Silver氏にインタビューをし、サービスの展望や、自ら「ノマドファウンダー」と称する彼が目指す世界観について語っていただいた。

―― Teleportについて教えて下さい。

よく「世界で住みやすい都市ベスト10」なんて言う記事をよく見かけるけれど、僕らにとってそれはあまり意味をなさないんだ。何故なら「どの都市に住みたいか?」という疑問に対する答えは「どこ」の「誰」が「いつ」投げかけるかによって大きく変わってくるからね。

そういった意味でTeleportは「人と都市を結ぶDating Site」と言うと分かりやすいかな。

私達が提供しているのは、まず職種、給与、生活費、自然、ビザ、税制、経済、スタートアップ、犯罪率、街並みの綺麗さといったそれぞれの人生における重要な要素や、個人の好み、嗜好に合わせて、その人に合った都市を抽出する – 「1. Discovering Service 」、そして予算、住居契約、就職活動 、保険、ビザ、携帯電話や車の契約といった実際の他都市への移住を手助けする – 「 2 . Execution Service 」の2つだね。

Screen Shot 2016-06-16 at 1.29.59 PM


――このビジネスを思い立った背景と何かこのサービスを使ったケーススタディがあれば教えてもらえますか?

未だ多くの人々が主要都市での生活にこだわっているよね。シリコンバレーも1つの良い例と言えるかもしれない。

サンフランシスコでは家賃が歴史的高騰 (1ベッドルーム : 日本で言う1LDKの平均賃料が日本円にして約40万円 ) を見せつつも尚、スタートアップで一旗揚げたいと考えるたくさんの人がこのシリコンバレーに移住してくるよね。もちろん投資家やベンチャーキャピタルといった資本へのアクセスという点ではこの都市は世界で一番と言えるかもしれない。けれどもせっかく調達した資金を高い家賃に当てて本来の自分たちのビジネスではなく不動産に還元してしまうのでは、あまり意味がないのではと思うよ。

一方、最近ではSlackやDocuSignといったサービスが出始め、場所に縛られることなく多くの仕事をリモートでできるようになってきているんだ。生活面のコストは場所によって大きく変わる一方で、収入と場所の関係性は日々隔離されつつあって、今は場所を問わず収入を生むことができる。

分かりやすく言うと、高いレートで給料をもらいながら、コストの安い場所で生活をするということが今では可能なんだ。

だから人々は「今の自分はなすべきことをするのに適切な場所にいるのか?」という疑問をもっと投げかけるべきだと思う。ケーススタディという問いだったけど、僕達の会社そのものが一つのケーススタディのようなものだよ。Teleportの社員は全員、ドイツ、エストニア、カナダ、アメリカと世界各国からリモートで仕事をしている。他にも僕を含めそれ以外の各国を転々と移住しながらリモートで働いているエンジニアも数人いるんだ。

( 下の写真を見せながら)これは 会社の1周年をリモートで祝った際の様子だよ。Google Hangoutを使ったんだ。

bday2-e1460363525386-1024x574

我々はAndreessen HorowitzやSV Angelからシードラウンドで資金調達を行い、本来シリコンバレーに住んでいれば1年でなくなっていたであろう資金が、7つのサービスをローンチした後も尚まだ残っていて、今年で3年目を迎えようとしているんだ。このまま行っても、あと1、2年は経営の問題がないよ。

僕達の最終的なビジョンは「移住」をもっと簡単にすること。そして、人生設計におけるあらゆる選択肢と手段を提供することで、各国各都市の行政が、一市民の獲得を競い合う世界を作り出したいんだ。

すごく大きな話に聞こえるかもしれないけれど、もう既にその動きは始まっているよ。例えばスウェーデンにエンジニアとして移住すると所得税の免除が数年に渡って受けられる。今世界全体でエンジニアというタレントが不足していて、彼らは一国の経済成長を語るにあたって欠かせない存在になっているんだ。他にもオーストラリアやニュージーランドもITタレントの獲得のために大幅なビザプログラムの改正を行っているし、現段階ではIT分野における技術者の獲得だけが注目されているけれど、ゆくゆくは世の中に必要とされる様々なタレント誘致のための規制緩和策が施行されることは今の世界の流れから見ても明らかだよ。

――世界各地からリモートで働くということは会社の法的なロケーションであったり税制の面で問題はないのですか?

僕達の出身のエストニアでは「e-estonia」という世界最先端の電子社会を作ろうというプロジェクトが始まっていて、エストニア在住者、非在住者に関わらず、Web上で簡単な登録を済ませ、エストニア大使館から発行されるIDカードを取得すると、国内外からの銀行手続きだけでなく、選挙、納税、Digital SignやDigital 認証機能による政府機関とのやりとりや、インターネット上での会社設立であったり、エストニア外からの会社の運営までできるようになっているんだ。

エストニアの人口は今130万人。エストニア政府は2025年間でにこのIDカードの発行枚数を人口の約8倍の1,000万人にまで増やすことを目標としているんだ。

極端な話、エストニアに行かずとも、大使館でちゃんとした指紋認証始めとする認証プロセスを経れば、エストニアに会社をたててPayPalやStripeと言った様々な決済サービスを使いながら世界各地からリモートで仕事をするというのも今は可能なんだよ。エストニアはEUの一部であるし、金融機関を始めとする様々な恩恵を同時に受けることができる。これはただの一つの例に過ぎないし、これをロールモデルとして税制や法制度と言った部分で今後各行政が競い合いながら、より画期的なシステムも産まれてくるだろうと思うね。

たとえば、僕達が手がけているサービスの一つにTeleport Runwayというものがあるのだけれど、このサービスはあなたのスタートアップのプログラマーを始めとする従業員の数、コスト、給料、調達した資金等の情報を入力すると、今例えばあなたがサンフランシスコで会社を運営しているとして、他の都市に映った場合にどれだけコストが削減できるかや、拠点を移した場合のメリット、デメリットが把握できるんだ。

今はスタートアップ界隈も競争が激しくなってきていて、こう言った情報の提供は彼らの生存率にも大きく左右してくると僕達は信じている。もちろん「移住」を進めるにあたってすべきことは山ほどあるし、そのために私達はTeleport Zenというサービスを提供している。このZenというサービスは各都市の移住にあたってしなければいけないチェックリストアプリのようなもの。誰とどれぐらいの期間、何を目的に移住するのかという情報を元に、カスタマイズされたチェックリストを提供しているんだ。そして次にTeleport Scoutというサービスはそのチェックリストの中で分からなかったことに対し、例えば就職活動であればローカルの人材エージェント、携帯電話であればローカルの携帯キャリアといった風に各種の現地のエージェントとの橋渡しも行っているよ。

thumb_DSC_0664_1024

――今のお話をお伺いしていると、このビジネスは行政機関との密接な連携が必要になってくると感じるのですが、ビジネスモデルについてお伺いします。どのようにしてマネタイズを行っているのですか?

すでにフィンランド、イタリアやエストニアを始めとする幾つかの国の都市は私達に「もしその都市に移住すればどんな生活ができるか?」という情報のプロモーションと引き換えに報酬を支払ってくれているんだ。実は、今日本の主要都市にも声をかけているところだよ。もちろんこれらの行政機関からの報酬だけではなく、今後は、移住の際に発生するようにしていくよ。携帯の手続きや、車、住居、保険、引っ越し業者といったそれぞれの分野における各社のエージェント同士を競わせながらのマネタイズも考えているんだ。

――今後の目標を教えてください。

まず未だ多くの人が「移住」という選択肢を現実的なものとして考えていないし、故に “Am I in the right place?” 「 今自分は本当に居るべき場所にいるのか?」という素朴な疑問を自分自身に投げかける人も少ないよね。だから僕達はもっと情報と手段を提供しながら「移住」の簡易化を通してよりたくさんのケーススタディを作っていきたいと考えているんだ。

Follow Silver on
Twitter : @keskkyla
Linkedin : Silver Kekkula
Teleport : https://teleport.org/